Repair File #482

Gretsch 6120 The Nashville '58 (27628)

詳しい内容についてのお問い合わせは info@ba-na-namoon.com

 

あくまでも個人的な感想

グレッチのナッシュビルのレストアです。オーナーさんはギターについてはかなりお詳しい方ですが、3年探しまわり、やっとレストアするにあたりキチンとする可能性の高い物を見つけたので購入されたそうです。それでも多くの修正を必要としました。

 

 

3弦のポストがグラつくのでブッシュを外してみると、何やら穴が見えます。どうやらヘッドに損傷を受け、修理されているようです。その時の処置が不完全だったのです。

埋木して空けなおしました。ネックにはメイプルを使っていますので、当然メイプルを木目を合わせて埋木しました。

グラついていた為についてしまった傷は残っていますが、ブッシュはカチッと入っています。

   

ネックは激しく波打ちを起こしていました。おまけにアジャストロッドは一杯まで締め込まれています。仕方がないのでアジャストロッドにスチールプレートを1枚はさみ込み、ネックを逆反りさせてフレットを抜き指板を削って修正です。ところがフレットは瞬間接着剤をたっぷり充填されていました。

指板を削り終えたところですが、ご覧のようにおびただしい割れがあります。

フレット抜きで出来た割れではありません。前回処置の時に思いっきりハンマリングされたようです。このひび割れを一つづつ丁寧に修正するまでフレットを打つ事は出来ません。また溝の中に接着剤が残っているのがお分かりいただけると思います。さ〜て、削り落としましょう。

かなりの時間をかけて指板修正したところで、波打ち修正の削り分もかなりの厚みになりました。その結果ポジションマークが無くなってしまった所も出来てしまいました。マザーオブパールで新しいポジションマークを造ったのが左の画像です。

   

ナットの取り付けも怪しく、隙間が見えました。外してみて驚いたのがナットの下には弦の袋かと思われるビニールが敷いてあります。

ビニールの下には3種類の接着剤が残っていました。1層削り終えると硬さの違うものが現れ、また削ると違う硬さのものが現れるという状態ですね。画像はクリーニング完了後です。

ナット交換後の画像です。

   

ブリッジのスタッドの保持方法が『?』です。この状態では左右のぶれまで起こりますね。アーム付きギターですので前後の可動はそれなりに必要ですが、左右はここまではいらないのでは。。。

エボニーで埋木し、前後はそのまま、左右は絞ってみました。

全体画像です。

このブリッジは高さの調整に合わせてスタッドの開きが変化します。ご覧のように上に向かって少し開いています。左右の可動幅がゼロでは困りますが、必要以上に動いてしまってもチューニングが安定しなくなってしまいますね。

   

狂ったネックに対しピックアップの高さを合わせたのでしょう。ひどい状態です。エスカッションのネジは効いていません。

エポキシの接着剤でネジ穴を確保するように周りを修正です。

修正したネックに合わせ修正しました。エスカッションもキチンと取り付け出来るようになりました。

   

オリジナルのワイヤーはベルデンです。50年近く経っているので不安がありますね。

オーナーさんのご希望でWEのワイヤーに交換です。画像には写っていませんがピックアップのワイヤーも交換いたしました。ポットが一つガリがあるのでクリーニングし、スイッチは一つガタがあるので修正。コンデンサーも使えました。それにしても美しい配線じゃありません?そうそう、ピックアップセレクターとプリセットトーンのスイッチの位置を入れ替えて欲しいとのご依頼もありました。

   

古いグレッチを見つける事はできても、どこまで修復できるのかは難しい判断だと感じた作業でした。でも、この音は他のどのギターでも得られません。58年のグレッチサウンドですが本当にゴキゲンです。意地を通させていただいたオーナーさんに感謝いたします。良い仕事ができました。

 

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