Repair File #408

Martin D-28 (997441)

詳しい内容についてのお問い合わせは info@ba-na-namoon.com

あくまでも個人的な感想

マーチンD−28の新品お任せチューンです。オーナーさんは2年ほど前に怪我で左手の握力のほとんどを失いました。ご本人の懸命のリハビリのおかげで、セーハに注意すれば良いくらいに回復、そこで自分へのご褒美としてこのD−28をお求めになりました。(おめでとう!!)回復したとはいってもできる限り押さえやすいように、しかも音を失わないような低めの弦高にして欲しいとのご希望です。(キツイ!)今回は私も気合いが入りまして、詳しく報告いたします。数値はあくまでも私の計測値です。ご理解下さい。

 

 

 

 

1F

12F

7Fリリーフ

 

左表は入荷後の計測です。なかなかアメリカンなサイズです。(笑)1Fは、私でも押さえるのが辛いですね。12Fは普通の人にはなかなか良さそうな数値ですが、ネックの順ゾリが軽〜く出ているようです。まず、ネックの調整を行います。

1

0.60

1.9

0.25

 

2

0.75

2.3

0.25

 

3

0.60

2.2

0.25

 

4

0.75

2.4

0.25

 

5

0.75

2.5

0.25

 

6

0.80

2.7

0.25

 

 

まず、ネックリリーフがゼロになるまでアジャストを締めます。その後、少し緩めては音を確認し、気に入らなければまた緩めます。バック板が揺れ出し、音の芯が出るポイントになればそこがジャストポイントです。ネックって、ただ真直ぐにするだけでは鳴りを失います。もう一度計測しましょう。右表が結果です。これがマーチンの工場出荷値といえるんでしょうね。7Fのリリーフも良い感じです。

 

 

1F

12F

7Fリリーフ

 

1

0.50

1.7

0.10

 

2

0.60

2.0

0.10

 

3

0.50

2.0

0.10

 

4

0.60

2.1

0.10

 

5

0.60

2.3

0.10

 

6

0.75

2.5

0.10

  

上の画像は入荷時に撮影したものです。ナットに弦のほとんどがもぐっています。ブリッジピンは完全に入れ込まれていなく、いかにもロスがありそうですね。サドル背面の弦角度はゆるい状態です。

 

 

1F

12F

 

左表は、1Fに目標の弦高のシックネスゲージをはさんで押さえた時の、12Fの弦高です。言い換えると、1Fの弦高をはさんだゲージのサイズに下げた時の12Fの弦高です。もう少し低いと嬉しいとの事です。

1

0.30

1.6

 

2

0.30

1.8

 

3

0.35

1.9

 

4

0.40

2.0

 

5

0.45

2.2

 

6

0.50

2.4

 

 

 

 

 

 

右表は、目標の1F、12F弦高値と下げなくてはいけないサイズ(差)です。目標値は低いでしょう?今回はオリジナルサドルのミカルタでは音色が甘過ぎると判断し、牛骨に換えます。

 

 

1F目標

12F目標

 

1

0.30

1.5

-0.1

 

2

0.30

1.6

-0.2

 

3

0.35

1.7

-0.2

 

4

0.40

1.9

-0.1

 

5

0.45

2.1

-0.1

 

6

0.50

2.2

-0.2

左の画像はサドルを外した溝ですが、サドルの削りカスが残っています。これは許せません!ここのクリーニングは我々販売店での仕事なのでしょうか?疑問です。

 

 

オリジナル

作製

 

左表は、オリジナルのサドルの各弦の乗る部分のサイズと、目標の12F弦高にする為のサイズです。これに従って新しいサドルを造ります。

1

8.13

8.03

 

2

9.11

8.91

 

3

9.66

9.46

 

4

9.95

9.85

 

5

9.95

9.85

 

6

9.61

9.41

 

  

サドルの次はナットの修正です。左はオリジナル、真ん中は溝にヤスリを入れて弦高を整えた状態です。このままでは弦がナットにもぐり過ぎて音づまりをおこします。そこで、右の画像のようにナットのシェイプを整えます。オリジナルのコリアンの音って、私嫌いじゃありません。

 

最後の仕上げ、ピンのフィットと弦ガイドを入れます。ナットの弦溝角度を修正しながら、各弦の音色バランスを整えます。

 

1F

12F

7Fリリーフ

出来上がりです。低めの弦高でも芯を極力失わず、軽いタッチでも充分に鳴る反応、時に強くヒットした時のバスの混ざり方が絶妙だと思います。『反応が速くってちょっと厳しいけど、馴れれば大丈夫かな?』とおっしゃっていました。育てて下さい。

1

0.30

1.5

0.10

2

0.30

1.6

0.10

3

0.35

1.7

0.10

4

0.40

1.9

0.10

5

0.45

2.1

0.10

6

0.50

2.2

0.10