Repair File #350

 

BreedLove Ed Gerhard Signature (981052)

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あくまでも個人的な感想

初めてお目にかかったブリードラブです。あちらこちら色々と手が加えられているだけに、正体がさっぱり分らない状態になっていました。これをきちんとした状態に戻すのにとても苦労をいたしました。これだけの作業もめったに無いと思います。それだけに内容の濃い(すぎる?)リペアファイルになりました。どうぞご堪能ください。肝心の音の事を書いていませんね。このギターってとても不思議です。まるでピアノみたいな音がします。和音がまったくとけません!でも、それが何とも心地よく響きます。こんなの初めて。

最近手に入れたギターだそうですが、ビリ付きが気になり、修理してもらったところローポジションが弾きにくく、自分でサドル交換をやってみたところ収拾がつかなくなったとの事。『松本さんがチューンした友人のギターが素晴らしい状態だったので自分のもぜひお願いしたい。』こんな嬉しい依頼です。弾いてみると弾きにくいだけでなく、芯の無い『ぽわ〜ん』とした音です。点検してみたところ、ナットの下にシム板が入っています!何故???

フレットのほとんどにワックス状のものが充填されています。それなのにところどころ浮いていました。このワックスが緩衝材となり、音に締りが無くなっているようです。抜いたフレットを見ていただくと分ると思います。フレットのすり合わせもされていますが、形状修正が不十分です。サドルの下にもシム板が入っています。これらの事から、なんらかの原因でセッティングが狂い、とりあえず音の出る状態にまとめられた感じがします。かく言う私もこのギターは初めてお目にかかります。エドさんがどんなプレーヤーなのかも知りません。さて、どうしましょう。こんな時は、いつものようにフレットからスタートです。

フレットの溝をクリーニングして、フレットを打ち直しして、すり合わせをして、シェイピングをして、ベベルの修正をして、画像のようになりました。この作業には2日かかりました。どうやらこのフレットは特殊なもののようです。エドさんの微妙なビブラートに答えられる形状ですって。すご〜く堅かったです。

次はサドルです。計算から目標の弦高になるサドルを仮作成。左がその画像です。オクターブ補正も見て下さい。サドルの前方リリース角度と後方リリース角度は最後の最後に修正します。この画像の状態は仮です。

そして、ナットに取掛かります。運良くシム板はナットの方にくっついて外れました。作業が楽です。残った接着剤をクリーニングした画像が右側です。

完成したナットの画像です。サイドの姿もきれいでしょう。素材はマンモスアイボリーです。

後面リリースを修正して音色の調整と各弦のバランスを取ります。仮作成と修正後の違いは微妙ですが、画像を並べてみると分ります。弦の角度が変わっていますよね。右は前方のリリース角ですが、この画像の方が分かりやすいかも。

後面の修正を1弦側からご覧ください。オクターブ補正の状態も良く見えますでしょうか。やっと完成!!

中を覗いて驚きました!ブリッジの裏側にブリッジアジャスト(トップ板の膨らみ調整機構)があります。ウワサでは聞いていましたが、こんなの初めて見ました。

ブリッジ下のブロックから生えた棒は、ボディエンドブロックに固定されています。この機構のおかげで、トップ板を極力薄く、ブレイシングも極力軽量にできるという事らしいです。

 

ヘッドの画像です。弦の引っぱり方向がストレートに近くなるように、ペグ配列が行われています。

ブリッジの画像です。サドルとテールピースに2分化されたデザインです。

ラベルの画像です。

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