ハンバッキング・ピックアップの高さ調整(レスポール系)


ピックアップバランスの調整方法は文章ではなかなかお伝えしにくい事もあって、今まで掲載をためらっておりました。何とかこのコンテンツを作ってみましたので、ご参考になれば幸いです。

演奏ジャンルやスタイルが異なれば、『違うぞ!』というご意見もあると思いますので、あくまでも私見という事にてご容赦いただけると助かります。


予備知識

(1)ピックアップと弦の距離が近いほど音量、音の太さ、パンチが上がります。高めに調整するとピッキングのニュアンスの影響を受けにくくなり、低めに調整するとニュアンスを出し易くなります。どちらが正しいという事ではありませんので、お好みでとなります。

(2)調整をする前にピックアップの各ポールピースと弦の距離を計測しておくと良いバランスが分からなくなった時に元に戻す事が容易になります。ピックアップ自体の高さも計測しておくと良いでしょう。しかし、厳密に言うと完璧に元に戻す事は不可能となります。どうぞ慎重にお考え下さい。

(3)エスカッション(ピックアップの枠)にある2本の小さめのネジはピックアップ全体を上下させる為のもので、エスカッションの裏側でスプリングを入れてピックアップの足にネジが入っています。緩め過ぎるとエスカッションからピックアップが外れて落ちてしまい、元に戻すのは少々厄介ですので注意が必要です。


(4)ポールピースという各弦の下にある6個のネジで6本の弦バランスの微調整をします。ピックアップ本体はハウリングを極力避ける為にパラフィン処理(ロウづけ)されていますので、ポールピースは思っているよりも回しにくかったりします。また、回した時にネジの周りからペースト状の物体が出てくる事がありますが、それがパラフィン(ロウ)です。破損ではありませんので調整後に綿棒やクロスなどで拭き取って下さい。



準備

ポールピースの頭についている溝にジャストサイズのマイナスドライバーは入手が難しかったりします。回せそうだから少し小さい物でも大丈夫だろうと思っても、調整中にネジ溝からドライバーが滑って外れピックアップカバーに傷をつけたり、ネジの溝を傷める事もありますので注意が必要です。私は市販のドライバーでやや大きめのものを削ってジャストサイズのものを用意しています。ドライバーは通常は焼き入れがしてあり加工は大変です。普通のヤスリよりもダイアモンドヤスリ(100均ショップ物もそれなりに使えます)で加工すると比較的楽です。

ドライバーの幅は、ピックアップカバーにあるポールピースの穴より若干狭く加工します。バイスにはさんで作業すると良いでしょう。




VESSEL 6300/5.5/75



調整

(1)アンプにギターを繋ぎ音を出せるようにします。アンプの設定はクリーンで、極力フラットなトーン調整にして下さい。

(2)ピックアップセレクターをリアにします。5FセーハのAのコードなどを弾きながらリアピックアップのエスカッションにある全体調整ネジで好みのポイントを探します。ロック/ブルース系はローエンドの太さやパンチに注意すると良いと思います。ジャズ/フュージョン系ではブーミーになり過ぎないように注意すると良いと思います。

(3)開放の各弦、Aコード、Aのフォームでのボディ側(上の方)の様々なポジションで弾いてみて、6本のバランスを聴き取ります。1弦から6弦までゆっくりと1本ずつ均一の力でピッキングし、6本のバランスを聴き取って下さい。ピッキングの強さは強すぎず弱すぎずの自然な感じが良いと思います。

(4)音の小さな弦はポールピースを上げてバランスを取るようにします。音の大きな弦はポールピースを下げます。小さな弦を上げるか、大きな弦を上げるかはお好みですが、『2』で行った処置の音に近い状態を探って下さい。ポールピースは左に回せば上がり(弦に近づき)右に回せば下がります。片手でピックアップ本体を押さえ、グラつきを止めて作業しましょう。

(5)カッティング、リフ、リードの各プレイを試してみて下さい。ロック/ブルース系の方はアンプをドライブさせて(エフェクターを使う方は入れて)みても良いでしょう。凹んでいるもしくは出過ぎている弦はポールピースで微調整して下さい。全体の上下も試してみても良いでしょう。

(6)ピックアップセレクターをフロントにします。『2』~『5』と同様に調整しましょう。ジャズ/フュージョン系では、ギターのボリュームを少ししぼった状態でカッティングが心地よい状態をつくってみるのも良いかもしれません。

(7)リア、フロント共に心地よい感じが出来上がったと思います。これからセンターのポジションを確認いたします。アンプはクリーンにしていただいて、Aのコードを弾きながらセレクタースイッチをフロント→センター→リアと切り替えながら音を聴きます。フロントとリアの音量が違いすぎると実際の演奏に支障がありますので、大きすぎる方の全体高を下げるもしくは小さすぎる方の全体高を上げるようにエスカッションにあるネジで調整します。1弦側と6弦側の調整幅は同一でなくても構いません。心地よければそこがポイントです。あちらを立てればこちらが立たずという状態に陥りかねませんので、双方が良さそうな感じにするように注意して下さい。

センターポジションの音の特徴は、スリムで丸からずキツからずのすっきりした音(ハーフトーンと言います)が理想(個人的にかもしれません)なのですが、フロントとセンターのキャラクターがかけ離れないような存在に出来ると良いと思います。フロントに近過ぎた時には、エスカッションにある全体バランス調整でフロントを下げるか、リアを上げます。リア寄り過ぎた時には逆ですね。

(8)ここまで来て『う~ん?』という方は、もう一度やり直してみて下さい。元に戻すか、ここから再度やってみるかは、どちらでも構わないと思います。大切な事は『ベスト』ではなく『ベター』を求める事です。(私も自分のギターは、やればやるほど。。。)

実際にスタジオやライブハウスで音を出してみないと、判断するのは難しいかもしれません。期間を置いて再トライすればもっと良いポイントが見つかるかもしれないといつも思ってしまいます。